モキュメンタリーというのは、架空の物語をまるで実際にあったことのようにドキュメンタリータッチを取り入れて表現する手法です。
ブレアウィッチプロジェクトや放送禁止シリーズ、ノロイが有名です。
漫画だと、ぼくが知る最も古いものは伝火矢才蔵(白土三平)ですかね。
まぁそんな前置きは、どうでもいいんですよ。
QC:1 四代目転生記ツバキがね、面白いんです
倒産した出版社ビルで、何故か金庫に保管されていた短編漫画がありました。これを読んでみようという流れで始まります。
短編漫画の内容は、女子高生が悪霊をやっつける伝奇バトルの第1話です。
ただ、奇妙なことに主人公の名前が作者の本名「妙子」になることがある。
……一体この作品は何なのでしょうか?
| 画像クリックで漫画のページへ移動します。 |
⚠️以下、ネタバレになります⚠️
この漫画は、一言でまとめると大量サツジンをした妙子さんの独白です。
2.比丘尼は悪霊使い
3.幽玄夜叉は誰なのか?
4.盗撮写真の謎
5.四代目の意味
6.悪意がない恐ろしさ
順に見てきましょう。
漫画家になる夢を両親に理解してもらえない妙子さんは、漏電火災で一家心中を図りました。
しかし、妙子さんは生き残りました。
このページ。浄化としてますが悪霊を出してますよね?
蛇ネコ狐も悪霊だし、つまり悪魔召喚するデビルサマナーです。伝説の八百比丘尼も長寿で諸国行脚した割には、善行の逸話がまるで無いですからね。
ただ、(広い意味で)病気をもたらす悪霊を『浄める力』は持っているようです。
公園に居た呪われた子どもの描写は明らかに悪霊で、それを祓うという善行をしようとしてるかのように見えなくもないです。
しかし、妙子さんたちにそう見えてるだけという解釈も成り立ちます。
『浄める力』として結果的ながら両親をコロしてますので……。
キラキラした占い師のおばあさんが狐たちを三匹でなく、『三人』としたのも妙子たちのモノの見え方が正しいとは言い切れないように思えます。
妙子さんたちの宿敵です。
夜叉は鬼神として描かれることもありますが、仏法を守る神様でもあります。
仏教寄りである日本にとっては後者としての意味合いが強いでしょう。
幽玄夜叉は善良な市民の敵である、と断言することは出来ません。
H社の元社員N氏(写真で数珠持ってピースしてる男性)が怪しいけど、宿命のバトルの末に妙子さんに勝ったとしてですよ? 漫画をわざわざ金庫に保管して失踪したというのがちょっと分かりません。
……これはメタ読みになるんですが、YouTubeのフェイクドキュメンタリーQシリーズは「(大きめの)ヤバい組織が絡んだ事件の一部を映像化したもの」という作風なので、とくに幽玄夜叉に関しては諦めて続報待ちでいいかなぁ~と思います。
撮影日時が刻印されていて、何年にも渡って撮ったことが分かります。
少なくとも高3の時に撮ったものだけではありません。
写真は19枚あります。
写真の人々は『浄める力』をふるう対象です。
両親は浄化されました。
この19人も既に浄化されていることでしょう。
繰り返しになりますが、この作品は妙子さんの独白です。
妙子さんが全員、ころしたんです。
よって、妙子さんは大量サツジン者であるという図式が成り立ちます。
ここまで様々な解釈が成り立つとハイ、さらに疑いたくなるものでして……。
劇中では四代目というのは比丘尼の転生回数で、狐たち動物霊はそのガーディアンです。
これを疑ってみます。
占い師によると狐たちは動物ではなく、人です。
三匹ではなく三人となります。
この三人が初代であり、二代目であり、三代目です。
悪霊使いは代を重ねるごとに人数が増えて、デビルサマナーとしてパワーアップします。
……という解釈もアリかなぁ~と。
三体の悪霊に、悪意がないことを説明すらしていない。
これがねぇ……ジワジワ来ます。
漫画表現の強みとして三体はコミカルに描かれており、敵とは思えません。
でも、親ゴロしさえも悪いことだと思ってないんですよ?
どう見積もっても善良な市民の敵です。
しかし、憎めない。
考えれば考えるほど比丘尼チームの恐ろしさは底なしです。
これはねぇ……怖いですよ。
なんでしょうね……この怖さ?
これが最強最悪の霊能力者であるという製作者の哲学を見た思いです。
「四代目転生記ツバキ」
傑作です。
以上、長くなりましたが読んでいただきありがとうございました!!
| 涙の一撃。あらためて見ると火事のようにも見えますね。 |