2025年11月29日土曜日

四代目転生記ツバキ 漫画フェイクドキュメンタリーQC:1 感想・考察

モキュメンタリーと漫画の100点の融合!

モキュメンタリーというのは、架空の物語をまるで実際にあったことのようにドキュメンタリータッチを取り入れて表現する手法です。

ブレアウィッチプロジェクトや放送禁止シリーズ、ノロイが有名です。

漫画だと、ぼくが知る最も古いものは伝火矢才蔵(白土三平)ですかね。

まぁそんな前置きは、どうでもいいんですよ。

QC:1 四代目転生記ツバキがね、面白いんです

倒産した出版社ビルで、何故か金庫に保管されていた短編漫画がありました。これを読んでみようという流れで始まります。

短編漫画の内容は、女子高生が悪霊をやっつける伝奇バトルの第1話です。

ただ、奇妙なことに主人公の名前が作者の本名「妙子」になることがある。

……一体この作品は何なのでしょうか?

画像クリックで漫画のページへ移動します。

⚠️以下、ネタバレになります⚠️








この漫画は、一言でまとめると大量サツジンをした妙子さんの独白です。

概要
1.親をコロした

2.比丘尼は悪霊使い

3.幽玄夜叉は誰なのか?

4.盗撮写真の謎

5.四代目の意味

6.悪意がない恐ろしさ

順に見てきましょう。

1.親をコロした

漫画家になる夢を両親に理解してもらえない妙子さんは、漏電火災で一家心中を図りました。

しかし、妙子さんは生き残りました。


2.比丘尼は悪霊使い

このページ。浄化としてますが悪霊を出してますよね?

蛇ネコ狐も悪霊だし、つまり悪魔召喚するデビルサマナーです。

伝説の八百比丘尼も長寿で諸国行脚した割には、善行の逸話がまるで無いですからね。

ただ、(広い意味で)病気をもたらす悪霊を『浄める力』は持っているようです。

公園に居た呪われた子どもの描写は明らかに悪霊で、それを祓うという善行をしようとしてるかのように見えなくもないです。 

しかし、妙子さんたちにそう見えてるだけという解釈も成り立ちます。

『浄める力』として結果的ながら両親をコロしてますので……。

キラキラした占い師のおばあさんが狐たちを三匹でなく、『三人』としたのも妙子たちのモノの見え方が正しいとは言い切れないように思えます。


3.幽玄夜叉は誰なのか?

妙子さんたちの宿敵です。

夜叉は鬼神として描かれることもありますが、仏法を守る神様でもあります。

仏教寄りである日本にとっては後者としての意味合いが強いでしょう。

幽玄夜叉は善良な市民の敵である、と断言することは出来ません。

H社の元社員N氏(写真で数珠持ってピースしてる男性)が怪しいけど、宿命のバトルの末に妙子さんに勝ったとしてですよ? 漫画をわざわざ金庫に保管して失踪したというのがちょっと分かりません。

……これはメタ読みになるんですが、YouTubeのフェイクドキュメンタリーQシリーズは「(大きめの)ヤバい組織が絡んだ事件の一部を映像化したもの」という作風なので、とくに幽玄夜叉に関しては諦めて続報待ちでいいかなぁ~と思います。


4.盗撮写真の謎

撮影日時が刻印されていて、何年にも渡って撮ったことが分かります。

少なくとも高3の時に撮ったものだけではありません。

写真は19枚あります。

写真の人々は『浄める力』をふるう対象です。

両親は浄化されました。

この19人も既に浄化されていることでしょう。

繰り返しになりますが、この作品は妙子さんの独白です。

妙子さんが全員、ころしたんです。

よって、妙子さんは大量サツジン者であるという図式が成り立ちます。


5.四代目の意味

ここまで様々な解釈が成り立つとハイ、さらに疑いたくなるものでして……。

劇中では四代目というのは比丘尼の転生回数で、狐たち動物霊はそのガーディアンです。

これを疑ってみます。

占い師によると狐たちは動物ではなく、人です。

三匹ではなく三人となります。

この三人が初代であり、二代目であり、三代目です。

悪霊使いは代を重ねるごとに人数が増えて、デビルサマナーとしてパワーアップします。

……という解釈もアリかなぁ~と。


6.悪意がない恐ろしさ

三体の悪霊に、悪意がないことを説明すらしていない。

これがねぇ……ジワジワ来ます。

漫画表現の強みとして三体はコミカルに描かれており、敵とは思えません。

でも、親ゴロしさえも悪いことだと思ってないんですよ?

どう見積もっても善良な市民の敵です。

しかし、憎めない。

考えれば考えるほど比丘尼チームの恐ろしさは底なしです。

これはねぇ……怖いですよ。

なんでしょうね……この怖さ?

これが最強最悪の霊能力者であるという製作者の哲学を見た思いです。

「四代目転生記ツバキ」

傑作です。


以上、長くなりましたが読んでいただきありがとうございました!!

涙の一撃。あらためて見ると火事のようにも見えますね。

2022年10月19日水曜日

ヒストリエ122話 感想考察 岩明均先生の寿命は140歳

 ヒストリエ12巻に向けて長期休載へ

切なさカッコいい着地シーンですね。

蘇生ルートの願いもむなしくエウリュディケがお亡くなりになりました。ただマケドニアのエウメネスとしてはここからが晴れ舞台です。

おおまかな流れは東征でヘファイスティオンと揉めて、そんでボアの村らへんでヘカタイオスと揉めて、アンティゴノスと化したフィリッポス王と揉めて死亡です。

直近の123話以降の詳細な流れとしては天下分け目のイッソスの戦いに向けた展開と予測されます。メムノンの出番です。もちろんバルシネも。あとデカい友達のニコゲネスも競技会で登場するでしょう。

大軍のシーンまみれなのでさすがにそろそろモブ用のアシスタントさんをそろそろ確保した方がいいんじゃないかなと思います。へレスポントスの戦いもありますし。

で・・・

いんたーねっつでは寿命が気になるのでとにかく急いで完結してほしいという声が主流ですが私は強く反対します。

つ、よ、く、反対します。

未完でもいいじゃないですか。

というのもカムイ伝は第三部の構想があったけど、白土三平先生は寿命を懸念して構想も無かったことにして筆を折った上で亡くなりました。ちょっとでもいいから続きがね、見たかったんです。

火の鳥も、ベルセルクも、カラマーゾフの兄弟も未完で亡くなりました。カラマーゾフの兄弟なんてちょうどいいところで終わったみたいなこと言ってる方々も居ますからね。

それはともかくアレです。

そもそもね、寿命を気にしたら長編連載なんて無理なんです。

岩明先生におきましては「私が管理するこの肉体なら140年は生きられるだろう」ぐらいのお気持ちで続けてほしいですね。

2021年12月29日水曜日

ヒストリエ120話「王宮の外・2」感想考察

お慈悲を!お慈悲を!お慈悲を!

岩明先生!お慈悲を!


いやー・・・やりましたね。

赤子絞殺をしっかり描写
赤子殺害描写に関しては、古くは我が子を食らうサトゥルヌスからありますが、アレでもなんか黒塗りされてる部分があるとかで、芸術としてもセンシティブなところあります。

デッドスペース2というクリーチャー化した赤ちゃんを撃ち殺すゲームがありましたが、日本語版は発売されていません。

そういえばジョジョ1部で赤ちゃんを食い殺してましたっけ。でも、あれもクリーチャーだしなぁ・・・。

赤子殺害は歴史ものでもナレーションで端折るやつです。『義経の赤子は砂浜に埋められた』ドドォォーンみたいな。

でもガッツリ描きました。赤子、糞尿を漏らしてます。

ただですね・・・

マジかよと思いつつ、嗚呼これをやりたかったんだなという思いもあります。

後にマケドニアを大いに狂わせるアッタロス派とアレクサンドロス派の対立は、王とエウリュディケの結婚式で始まったというのが主力な説だけど、そんなことは無いと思いますよというナレーションあったじゃないですか。

岩明先生は言いたいわけですよ。

ココだろ、と。

赤子を殺してんだぞ、と。

ここでオリュンピアスこそが許されざる真の邪悪なんだぞという印象を深くするためにしっかり描いたのかなぁと考えます。

エウリュディケが高貴な血しぶきで助けた男児ですが、史実ではしばらくは健やかに成長します。

今後、考えられる展開としては馬を走らせたエウメネスが男児を預かり、オリュンピアスからお慈悲を授かる代わりに忠誠を誓うという展開が考えられます。

エウリュディケは自殺します。女児を見捨てたから罪滅ぼしに後追いという感じですね。

ただ、ちょっと気になることがありましてアリダイオスって居たじゃないですか?

アリダイオスの妻も「エウリュディケ」という名前なんです。こちらはアウダタの娘なんですが、このアウダタの娘というのも良く分からなくて、元の名前があったのに何故かエウリュディケに改名したという妙な来歴がありまして、もしかしたら・・・・。


とりあえず今は岩明先生のご長寿を祈りましょう。
長くなりましたが、読んでいただきありがとうございました。

2021年8月25日水曜日

ヒストリエ118話「カルディア(心臓)・7」感想考察

フィリッポス復活ッッ!!復ッ!!活ッ!!

めでたくアンティゴノスにジョブチェンジですね。
で・・・
今さらながらやっと気付きましたよ。
最近のタイトルの「カルディアの心」。
なんでカルディアなんでしょう?
これ、『カルディアでアンティゴノスごっこしてたから』ってことでしょうね。
復活したフィリッポスが記憶障害を起こすのは今回のアリストテレスのセリフからも読み取れます。(注:心臓移植はしてません。明らかにミスリードを狙ってますが、ただの外科手術です)
死んでから脳に酸素が行ってないわけですから頭がおかしくなることもありますよね。
それでどうしてアンティゴノス化するかと問われれば、カルディアの心なわけですよ。
フィリッポスはエウメネスを格別に気に入ってます。
なので、その出会いは一度死んでも忘れられなかった・・・という感じで。
ただ「カルディア」に関してはまだ謎を残してると思うんですよ。
11巻でレオナントスが「カルディア・・・変わった名前の町だな」と言ってます。
ナニかがありそうですよね。
ゼウスが留守なら仕方ありませんね
岩明先生は大の手塚治虫漫画神ファンで、ブラックジャックのスピンオフ原作をやったことがあるほどです。
だからかどうかはわかりませんが、構成に勢いがありすぎて医療漫画でも始まるのかと思いました。
アリストテレスって理系視点だと人類史を停滞させたクソ野郎なので、なんか悪役になりそうですね。

2021年5月25日火曜日

ヒストリエ117話「カルディアの心臓」感想考察【訂正】これクレオパトラかも・・・皺が無いし

まず、これでフィリッポスがアンティゴノスにジョブチェンジするのは確定です。

レオナントスがわざわざ懐古したらこれはもう復活でしょ。

5日前に「アリストテレスは神」なんて記事を書いた矢先の出来事で、何やら嬉しくなりますね。

で。

この人です。

誰だと思いますか?

これね、オリュンピアスなんですよ。

思い出してください。

オリュンピアスはアレクサンドロスに、王族として生きるのは辛いからということで心の友である二つ目の人格「ヘファイスティオン」を与えました。

あの下りを読んだとき、多くの御方がこう思ったでしょう。

「もしかしてオリュンピアス自身も、王宮生活が辛くて別人格を作ったのでは?」

史実におけるオリュンピアスは邪教の徒であり、名前が幾つもあります。ポリュクセナ、ミュルタレ、ストラトニケ。他にもあるのかもしれませんね。

目から何やら垂れてるのは化粧です。

化粧をすることで別の人格に変身しているんです。

オリュンピアスである証左はですね、次のページのレオナントスの「暗殺の共犯と思われてしまうかも」というセリフからも読み取れるんです。

フツーならあんな格好でグラウンドに降りて、のんびりと心臓を持ち去ったら捕まります。

でも、スルーされているようにも見えます。

なぜなら王族だからです。

オリュンピアスの別の人格も、ヘファイスティオンのように王宮内で認知されているのならば怪しい格好をしていても、心臓を持ち去ってもセーフなんです。

2021年5月19日水曜日

アリストテレスは神ヤハウェ ヒストリエは旧約聖書③

 

ヒストリエが旧約聖書だとしたら主は何処におわしますか?

それはアリストテレスだと思います。

劇中でもそう連想させるような描写がいくつかあります。

ハルパロスを人工呼吸で蘇生したときにレオナントスが「医者というより、まるで神のような・・・」と考えてます。

アルケノルが研究所で「今日まさに神は貴方(バルシネ)をおつかわしになった」と言っています。バルシネはアリストテレスを探して研究所に訪れたわけですから、神とはアリストテレスとも読み取れます。

ついでに、アレクサンドロスに対してはペウケスパスの父親に「あれは神なんかじゃねえよ」と明言させています。

岩明先生は読者に対してアリストテレス=神と読めるように意識してると思います。

あとアブラハムの宗教における万軍の主さまの中で、最も人間味のあるのが旧約聖書のヤハウェですね。受肉したイエスさまよりも人間味があります。

そんなわけでアリストテレスはヤハウェということでよろしくお願いします。

それはさておき、ヒストリエにおけるアリストテレスは黒幕感ありますよね。

教え子であるアレクサンドロス大王たちがペルシャ帝国を滅ぼすわけですから、結果的に見てもスパイと言って良いでしょう。

ただ、それだけじゃあ済まない感じがします。

37話のバルシネとかも「一連の疑惑の手がかりぐらいはあると思うわ。さらに動かぬ証拠の品とか・・・」と意味深どころか、核心ではないかと思わせるセリフがあります。

あとアリストテレスは現代人視点、特に理系の方々にとっては良いイメージは無い人だと思います。

元素説ほかのせいで、まるっと2000年、停滞してますからね。

2000年ですよ2000年。

岩明先生がアリストテレスの負の側面を意識しないはずがないので、ここをどう描くかも見どころですね。

2021年5月13日木曜日

アルケノルは箱舟のノア ヒストリエは旧約聖書②

 

アルケノルというのはコイツです。

最近、僕は「ヒストリエは旧約聖書」という考えに取り憑かれておりまして、それを前提に読み返すと4巻のレスボス島生物研究所がノアの箱舟にしか見えないのです。

あそこ、骨と標本まみれだったじゃないですか?

古代において生命とはあれですよ。ピラミッドのファラオのお墓を見てもそうですが、後世に復活するからあんな感じでいいんです。ミイラを棺に、臓器は専用の箱に入れておけばOKなんです。

現代科学では骨から遺伝子分析も可能だなんて話、あるじゃないですか? だから、海に飲まれることなく地上に標本か骨を残すこと、その行為が未来への箱舟なんですよ。

「いや、それ以前にノアの箱舟は聖書でもクルアーンでも遥かトルコの東に漂着してんじゃん」

そうなんですよねぇ・・・。

でもね、僕はこの考えに取り憑りつかれているんですよ。

だから考えました。

そもそもですね、『ノアの箱舟』ってなんですか?

おそらく津波対策ですよね。この石碑より低いところに家を建てるべからず。山の頂上におっきな船を作ったわけです。

ヒストリエの時代から100年前、紀元前五世紀にマリアン津波という大災害がギリシアを襲いました。ヘロドトスにおいては、ポセイドン神の怒りとしてのポティダイアの津波とあります。

この津波の原因は、ポセイドン神でなければきっと地震でしょう。

震源は東にあるエーゲ海。

ならば北東のレスボス島も津波被害に遭ったはずです。

アルケノルは時の波が見える超能力者です。

きっと未来の津波が見えたのでしょう。

津波の被害を避けるためにレスボス島の東側に位置するミティレネの町の丘の上に研究所を建てたわけです。

そしてこのミティレネの町なんですが、津波の一年前であるBC427に反乱を起こしてるんですよ。アテナイの支配を退けてレスボス島を統一するぞぉーって。まぁ、負けちゃったんですけどね。引責という形で代表者1000人ぐらいぶっ殺されたそうです。

要するにですね、ノアの箱舟って津波対策であって、それがなんやかんやあって旧約聖書に記載されたんだと岩明先生は・・・いや、今のところ僕が言いたいだけですね。

そんなわけでアルケノル=ノア説ということでよろしくお願いします。

また、アルケノルという名前はヘロドトスのスパルタ・アルゴス戦争(BC550)で出てきます。

300vs300のガチンコバトルをしたらアルゴス大敗北、リーダーのクロミオスと、アルケノルの二人しか生き残りませんでしたぁ~というものです。

これが史実におけるセペイアの戦いかどうかはわかりませんが、スパルタはアルゴスに大勝利したのに占領せずに撤兵しており、その理由を「不吉だったから」としています。

漫画におけるアルケノルは見るからに不吉ですからね、なんか関係あるかもしれませんね。しかしあの不吉な顔、誰かモデルが居るんでしょうかね?