2021年12月29日水曜日

ヒストリエ120話「王宮の外・2」感想考察

お慈悲を!お慈悲を!お慈悲を!

岩明先生!お慈悲を!


いやー・・・やりましたね。

赤子絞殺をしっかり描写
赤子殺害描写に関しては、古くは我が子を食らうサトゥルヌスからありますが、アレでもなんか黒塗りされてる部分があるとかで、芸術としてもセンシティブなところあります。

デッドスペース2というクリーチャー化した赤ちゃんを撃ち殺すゲームがありましたが、日本語版は発売されていません。

そういえばジョジョ1部で赤ちゃんを食い殺してましたっけ。でも、あれもクリーチャーだしなぁ・・・。

赤子殺害は歴史ものでもナレーションで端折るやつです。『義経の赤子は砂浜に埋められた』ドドォォーンみたいな。

でもガッツリ描きました。赤子、糞尿を漏らしてます。

ただですね・・・

マジかよと思いつつ、嗚呼これをやりたかったんだなという思いもあります。

後にマケドニアを大いに狂わせるアッタロス派とアレクサンドロス派の対立は、王とエウリュディケの結婚式で始まったというのが主力な説だけど、そんなことは無いと思いますよというナレーションあったじゃないですか。

岩明先生は言いたいわけですよ。

ココだろ、と。

赤子を殺してんだぞ、と。

ここでオリュンピアスこそが許されざる真の邪悪なんだぞという印象を深くするためにしっかり描いたのかなぁと考えます。

エウリュディケが高貴な血しぶきで助けた男児ですが、史実ではしばらくは健やかに成長します。

今後、考えられる展開としては馬を走らせたエウメネスが男児を預かり、オリュンピアスからお慈悲を授かる代わりに忠誠を誓うという展開が考えられます。

エウリュディケは自殺します。女児を見捨てたから罪滅ぼしに後追いという感じですね。

ただ、ちょっと気になることがありましてアリダイオスって居たじゃないですか?

アリダイオスの妻も「エウリュディケ」という名前なんです。こちらはアウダタの娘なんですが、このアウダタの娘というのも良く分からなくて、元の名前があったのに何故かエウリュディケに改名したという妙な来歴がありまして、もしかしたら・・・・。


とりあえず今は岩明先生のご長寿を祈りましょう。
長くなりましたが、読んでいただきありがとうございました。

2021年8月25日水曜日

ヒストリエ118話「カルディア(心臓)・7」感想考察

フィリッポス復活ッッ!!復ッ!!活ッ!!

めでたくアンティゴノスにジョブチェンジですね。
で・・・
今さらながらやっと気付きましたよ。
最近のタイトルの「カルディアの心」。
なんでカルディアなんでしょう?
これ、『カルディアでアンティゴノスごっこしてたから』ってことでしょうね。
復活したフィリッポスが記憶障害を起こすのは今回のアリストテレスのセリフからも読み取れます。(注:心臓移植はしてません。明らかにミスリードを狙ってますが、ただの外科手術です)
死んでから脳に酸素が行ってないわけですから頭がおかしくなることもありますよね。
それでどうしてアンティゴノス化するかと問われれば、カルディアの心なわけですよ。
フィリッポスはエウメネスを格別に気に入ってます。
なので、その出会いは一度死んでも忘れられなかった・・・という感じで。
ただ「カルディア」に関してはまだ謎を残してると思うんですよ。
11巻でレオナントスが「カルディア・・・変わった名前の町だな」と言ってます。
ナニかがありそうですよね。
ゼウスが留守なら仕方ありませんね
岩明先生は大の手塚治虫漫画神ファンで、ブラックジャックのスピンオフ原作をやったことがあるほどです。
だからかどうかはわかりませんが、構成に勢いがありすぎて医療漫画でも始まるのかと思いました。
アリストテレスって理系視点だと人類史を停滞させたクソ野郎なので、なんか悪役になりそうですね。

2021年5月25日火曜日

ヒストリエ117話「カルディアの心臓」感想考察【訂正】これクレオパトラかも・・・皺が無いし

まず、これでフィリッポスがアンティゴノスにジョブチェンジするのは確定です。

レオナントスがわざわざ懐古したらこれはもう復活でしょ。

5日前に「アリストテレスは神」なんて記事を書いた矢先の出来事で、何やら嬉しくなりますね。

で。

この人です。

誰だと思いますか?

これね、オリュンピアスなんですよ。

思い出してください。

オリュンピアスはアレクサンドロスに、王族として生きるのは辛いからということで心の友である二つ目の人格「ヘファイスティオン」を与えました。

あの下りを読んだとき、多くの御方がこう思ったでしょう。

「もしかしてオリュンピアス自身も、王宮生活が辛くて別人格を作ったのでは?」

史実におけるオリュンピアスは邪教の徒であり、名前が幾つもあります。ポリュクセナ、ミュルタレ、ストラトニケ。他にもあるのかもしれませんね。

目から何やら垂れてるのは化粧です。

化粧をすることで別の人格に変身しているんです。

オリュンピアスである証左はですね、次のページのレオナントスの「暗殺の共犯と思われてしまうかも」というセリフからも読み取れるんです。

フツーならあんな格好でグラウンドに降りて、のんびりと心臓を持ち去ったら捕まります。

でも、スルーされているようにも見えます。

なぜなら王族だからです。

オリュンピアスの別の人格も、ヘファイスティオンのように王宮内で認知されているのならば怪しい格好をしていても、心臓を持ち去ってもセーフなんです。

さらに予想します。

謎の女はオリュンピアスであり、そしてアンティゲネスです。

物語のラスボスです。

銀楯隊の誰かかも・・・いや、ここはアンティゲネス! アンティゲネスなんです!

2021年5月19日水曜日

アリストテレスは神ヤハウェ ヒストリエは旧約聖書③

 

ヒストリエが旧約聖書だとしたら主は何処におわしますか?

それはアリストテレスだと思います。

劇中でもそう連想させるような描写がいくつかあります。

ハルパロスを人工呼吸で蘇生したときにレオナントスが「医者というより、まるで神のような・・・」と考えてます。

アルケノルが研究所で「今日まさに神は貴方(バルシネ)をおつかわしになった」と言っています。バルシネはアリストテレスを探して研究所に訪れたわけですから、神とはアリストテレスとも読み取れます。

ついでに、アレクサンドロスに対してはペウケスパスの父親に「あれは神なんかじゃねえよ」と明言させています。

岩明先生は読者に対してアリストテレス=神と読めるように意識してると思います。

あとアブラハムの宗教における万軍の主さまの中で、最も人間味のあるのが旧約聖書のヤハウェですね。受肉したイエスさまよりも人間味があります。

そんなわけでアリストテレスはヤハウェということでよろしくお願いします。

それはさておき、ヒストリエにおけるアリストテレスは黒幕感ありますよね。

教え子であるアレクサンドロス大王たちがペルシャ帝国を滅ぼすわけですから、結果的に見てもスパイと言って良いでしょう。

ただ、それだけじゃあ済まない感じがします。

37話のバルシネとかも「一連の疑惑の手がかりぐらいはあると思うわ。さらに動かぬ証拠の品とか・・・」と意味深どころか、核心ではないかと思わせるセリフがあります。

あとアリストテレスは現代人視点、特に理系の方々にとっては良いイメージは無い人だと思います。

元素説ほかのせいで、まるっと2000年、停滞してますからね。

2000年ですよ2000年。

岩明先生がアリストテレスの負の側面を意識しないはずがないので、ここをどう描くかも見どころですね。

2021年5月13日木曜日

アルケノルは箱舟のノア ヒストリエは旧約聖書②

 

アルケノルというのはコイツです。

最近、僕は「ヒストリエは旧約聖書」という考えに取り憑かれておりまして、それを前提に読み返すと4巻のレスボス島生物研究所がノアの箱舟にしか見えないのです。

あそこ、骨と標本まみれだったじゃないですか?

古代において生命とはあれですよ。ピラミッドのファラオのお墓を見てもそうですが、後世に復活するからあんな感じでいいんです。ミイラを棺に、臓器は専用の箱に入れておけばOKなんです。

現代科学では骨から遺伝子分析も可能だなんて話、あるじゃないですか? だから、海に飲まれることなく地上に標本か骨を残すこと、その行為が未来への箱舟なんですよ。

「いや、それ以前にノアの箱舟は聖書でもクルアーンでも遥かトルコの東に漂着してんじゃん」

そうなんですよねぇ・・・。

でもね、僕はこの考えに取り憑りつかれているんですよ。

だから考えました。

そもそもですね、『ノアの箱舟』ってなんですか?

おそらく津波対策ですよね。この石碑より低いところに家を建てるべからず。山の頂上におっきな船を作ったわけです。

ヒストリエの時代から100年前、紀元前五世紀にマリアン津波という大災害がギリシアを襲いました。ヘロドトスにおいては、ポセイドン神の怒りとしてのポティダイアの津波とあります。

この津波の原因は、ポセイドン神でなければきっと地震でしょう。

震源は東にあるエーゲ海。

ならば北東のレスボス島も津波被害に遭ったはずです。

アルケノルは時の波が見える超能力者です。

きっと未来の津波が見えたのでしょう。

津波の被害を避けるためにレスボス島の東側に位置するミティレネの町の丘の上に研究所を建てたわけです。

そしてこのミティレネの町なんですが、津波の一年前であるBC427に反乱を起こしてるんですよ。アテナイの支配を退けてレスボス島を統一するぞぉーって。まぁ、負けちゃったんですけどね。引責という形で代表者1000人ぐらいぶっ殺されたそうです。

要するにですね、ノアの箱舟って津波対策であって、それがなんやかんやあって旧約聖書に記載されたんだと岩明先生は・・・いや、今のところ僕が言いたいだけですね。

そんなわけでアルケノル=ノア説ということでよろしくお願いします。

また、アルケノルという名前はヘロドトスのスパルタ・アルゴス戦争(BC550)で出てきます。

300vs300のガチンコバトルをしたらアルゴス大敗北、リーダーのクロミオスと、アルケノルの二人しか生き残りませんでしたぁ~というものです。

これが史実におけるセペイアの戦いかどうかはわかりませんが、スパルタはアルゴスに大勝利したのに占領せずに撤兵しており、その理由を「不吉だったから」としています。

漫画におけるアルケノルは見るからに不吉ですからね、なんか関係あるかもしれませんね。しかしあの不吉な顔、誰かモデルが居るんでしょうかね?

2021年5月5日水曜日

ヒストリエはオデュッセウスと見せかけて、旧約聖書をやろうとしてる?①

 ハンターハンターの記憶どころか心も離れてしまう日々ですが、いかがお過ごしでしょうか?

そんなわけでヒストリエです。

まず、ヒストリエはイリアスとしての側面もあります。

オデュッセウスですね。

一つ目巨人、ポリュペーモス。元の神話では二人のポリュペーモスが登場します。アンティゴノス商人→将軍(予定)とフィリッポスという二面性を有してるのもおそらく狙ってますよね。

あとオリュンピアスが神話のゴルゴーンであり、あなたはアキレウスの血を継いでるんですよみたいなことを言ったのも。

ちょっと分かりづらいですが左の有名な肖像の胸にあるのは、蛇頭の少年です。ここに着想を得て、イケメンになったのでしょう。アフタ本誌だと全体的に下書き状態のことが多いのですが、アレクサンドロスだけはちゃんとペン入れをしたイケメンなのが笑えます。

ただですね。
オデュッセイアでもアレクサンドロス大王伝でも無い何かがありまして、それが旧約聖書に思えてならないのです。

民数記の「青銅の蛇」です。劇中で青銅であると念を押しています。

アフラマズダーと言えば古代ペルシアのゾロアスター教です。ゾロアスターと敵対するといえばバビロンです。旧約聖書ではバビロンをこれでもかってくらいディスってますね。悪魔の住むところだとかまぁ色々と。

カルディアにも二つの場所があります。

エウメネスの育った都市国家カルディアと、そこから南東にあるカルデアの地です。カルデアの地にはかつてバビロン王国がありました。

アレクサンドロス大王はバビロンで亡くなります。このへんも何か、因縁をつなげてきそうと思いませんか?

心臓と頭のエピソードもね、ダニエル書にそれっぽいのがあるんですよ。

そしてなんやかんやありまして、大王の亡骸はエジプトのアレクサンドリアに埋められます。

で、

肝心の主人公であるエウメネスなんですが、モーセなんじゃないのかと推測します。

そうです。”あの”モーセです。

凄いですね、海が真っ二つ。

モーセって出自が捨て子なんですよ。

拾われて、なんやかんやあって、エジプトで海を割って奴隷たちを連れて40年、さまよって約束の地へ辿り着きます。

ディアドコイ戦争も40年、続きます。

どうです? いい感じに符合してると思いませんか?

なんかもう、考えるほど旧約聖書なんですよ、ヒストリエ。

「強引な解釈だな、そもそも時系列がおかしいし、モーセみたいにハゲてねえだろ」と思われるでしょうがそもそもですね、ヒストリエってタイトルですよ。

ヒストリエという言葉は使われなくなった古語でして、厳密には「歴史」という意味ではありません。

起こった出来事を時系列ではなく、カテゴリで並べることがヒストリエです。イスラム教の啓典クルアーンに近いと言えば、わかる人にはわかっていただけるかと思います。

そういえば劇中でも書庫の整理のシーンで「こうやって時系列ではなく便利な並べ替えにしましょう」ってシーンありましたよね? あれも狙ってたのかな?

で、話は戻ってモーセです。

約束の地に辿り着いたモーセは何処かに旅立ってしまいます。何処へ行ったのでしょう?

ディアドコイ戦争で国は四つに割れて、そのうちの一つがリュシマコスに任され、パフラゴニアにアッタロス朝ペルガモンを開きます。

そういえばリュシマコスってまだ出てきてないんですよね。

重要人物なのに、何故でしょうね?

あれですか、エウメネスが死後にアルケノルに蘇生されて、リュシマコスに名前を変えるとかでしょうか? この物語に蘇生要素があるかどうかが分かるのはアンティゴノスが生き返るのを待たないといけませんが・・・いや、ありましたね蘇生要素。

そんで最終的にあれですね。

『第四の国は固きこと鉄のごとくならん。鉄はよくよろずのものを打ち砕くなり。その国はすべてを毀ちかつ打ち砕かん』

アッタロス朝はローマ帝国と仲良くなって、世界が麗しきローマとなります。